これから観る舞台


2026年8月  第304会 イッツフォーリーズ「ミュージカルピエタ

日時:8月8日(土) 17時開演(上演時間1 時間55分、休憩なし)

会場:RISURUホール(立川市市民会館) 

 

原作=浅田次郎  脚本・作詞=高橋亜子  音楽・ 作詞=田中和音・小澤時史 演出=本藤起久子   出演=岡田静 宮田佳奈 戸井勝海 神田恭兵 他 

 

日本で日本人による日本語のオリジナルミュージカルを創りたい

 

<劇団紹介> 

昭和を代表する作曲家・いずみたくが、日本で日本人による日本語のオリジナルミュージカルを創りた いとの思いから、1960年に永六輔とのコンビでミュージカル『見上げてごらん夜の星を』を制作・上演しました。 その後、本格的に日本のオリジナルミュージカルづくりを行うため、「イズミ・ミュージカル・ アカデミー」を設立しました。

1977年には、アカデミーの卒業生を中心に、ミュージカル劇団フォーリーズ(現・ミュージカルカンパニー イッツフォーリーズ)を旗揚げ、試行錯誤を繰り返しながら、 約30年間で125本のミュージカルを上演してきました。 1992年(平成4年)5月いずみたくの没後は、その遺志を継ぎ、ソリストの歌、アンサンブルコーラスの歌、演劇としてのドラマ性とテーマ性がバランスよく融合 している作品づくりに拘りながら取り組んでいます。

( 2025例会作品資料集より)

 

自分らしく生きるとは何かを問いかけて

 

<作品概要> 

浅田次郎の短篇小説集「月のしずく」に収録されている「ピエタ」を原作としています。 浅田作品では 「天切り松」「月のしずく」や「獅子吼」もミュージカル化していますが、「ピエタ」はなぜか、劇団の前代表(いずみたくの母)がいつの日か舞台化したいと拘った作品でもありました。当初は、その真意が全く分かり ませんでしたが、前代表が会社を経営しつつ、子育てもしながら、社会と戦ってきた悩みや苦労などが、この作品にある何かを強く感じ取ったのかも知れません。 

 少し前まで、女性の役割・仕事・ 居姿は、こうあるべきという社会全体の認識があり、女性はそれに耐えてきたと思います。ジェンダーレス、性別による区別や固定概念を取り払おうとする今の社会でも、いまだ女性であるというプレッシャーを抱えています。この作品では、母と娘の立場から、自分らしく生きるとは何かを問いかけています。 

(2025例会作品資料集より)

 

「ピエタ」について

 

イタリア語で「あわれみ」 や 「慈悲」などの意味でキリスト教美術の主題の一つです。十字架から降ろされたイエス・キリストの遺体を聖母マリアが抱きかかえた姿を指します。 この主題は多くの画家や彫刻家によって描かれ、 特にミケランジュロの『サン・ピエトロのピエタ』が有名です。

 

いい子でいれば、きっと迎えに来てくれる

 

<あらすじ> 

30歳になる永井友子は大学を卒業後、大手出版社で人気女性誌の副編集長を任せられていた。彼女には24年前、 6才の時に駅で別れたままの母がいるが、別れて以来、 一切音信不通のままであった。 別れ際に母は 「友子いい子でいるのよ、いい子でいたら、きっと帰ってくるから」という言葉を残した。

 友子は大人になるにつれ、 母は父との意見や生き方の相違から保険会社の営業マンと駆け落ちをして、家を出たことを知る。それでも「いい子でいれば、いつか迎えに来てくれる」とどこかで信じながら、日々を暮らしてきた。

「いい子でいれば、帰ってくる」を信じて努力を重ね、おかげで一流大学も卒業した。今も仲間から頼りにされている社員として働いているが、 その自分が逆に許せず、 母は自分をなぜ捨てて一度も連絡がないのかを恨み続けてきた。再婚した父に気を遣って大学進学を機に自立したが、母のいない自分を父親以上に可愛がってくれた祖父が事故で亡くなったのを機に、どうしても自分で確かめたくなりついに消息不明の母の居場所を探し出したのだった。

「いい子でいれば、帰ってくる」を信じて努力を重ね、おかげで一流大学も卒業した。今も仲間から頼りにされている社員として働いているが、 その自分が逆に許せず、 母は自分をなぜ捨てて一度も連絡がないのかを恨み続けてきた。再婚した父に気を遣って大学進学を機に自立したが、母のいない自分を父親以上に可愛がってくれた祖父が事故で亡くなったのを機に、どうしても自分で確かめたくなりついに消息不明の母の居場所を探し出したのだった。

 母チヨコは、イタリア・ローマで観光客相手のカリスマガイドとして働いていた。 勇気をもって逢いに行くことに決めたが、 同行したのはフィアンセのさえない中国人小売り商人のリー・インだった。 愛してもいなかった彼をフィアンセに選んだのは自分が如何に惨めであったか、母に伝えるためであった。しかし、リーは友子の全てを理解していた。

ローマで24年ぶりに再会する母は、想像とは異なっていた。 やっと授かった一人息子も6才で死別し、 その後たった一人で生きてきた母にも長い苦しみがあったことを知る。 自分の葛藤に困窮する友子を無償の愛をもってリーは優しく話しかけた。 お互いの誤解が少しずつとけてきた翌日、チヨコが友子に渡したものは、今まで送っては戻されてきた手紙の束だった。

(2025例会作品資料集他より)


原作 浅田次郎さんよりメッセージ(2023年初演時)

ミュージカル「ピエタ」によせて 

尊敬する芸術家を問われたなら、私は迷うことなくミケランジェロ・ブオナローティの名を挙げるだろう。1997年に書いた短編小説「ピエタ」は文字通り彼へのオマージュ (*1)である。 サンピエトロのピエタの美しさに陶然とし、フィレンツェとミラノのピエタに戦慄した経験は、 先人たちのどの小説にもまして私の作家人生に影響を与えたと思う。 

このたび私の「ピエタ」がミュージカル化されると聞いて驚いた。 

500年後の小説家が勝手に書いて「ピエタ」(*2)の足元に捧げた話がさて、天国のミケランジェロは何と言うだろうか」 

*1 オマージュとは作品、人物、発言などに対して敬意を表すること 

*2ピエタとはキリストの遺体を聖母マリアが抱きかかえた姿 


 <キャスト>